気持ちよく歩ける環境があれば、歩いて出かけることはごく自然なことになり、また歩きにいくことそのものを目的として楽しむことができます。「ウォークに行きましょう。」イギリスでは若い人から年配の方まで、友人や家族との時間を過ごす際に気軽に声をかけて散歩に出かけることは日常的なことです。
都会でも田舎でも、心地よくなる歩ける環境が多くあることは、イギリスの誇りの1つでしょう。街並みや公園、田園風景の景観を大切にしていること。そして歩行者のことを考慮した街づくりが、歩くことを楽しくしています。 多くの道には街路樹が植えられ、何十年あるいは何百年もの月日をかけて大切に保存され続けています。街路樹は道路を美しくし、木々の葉は季節の移り変わりと共に、通りの雰囲気に変化をもたらしてくれます。また、建造物の形や色などを整え、美しい街並みを保つことも重要なことと考えられています。これによって景観の良い環境ができ、様々な通りに個性がもたらされています。中には何百年以上も前からの雰囲気が保たれ、建物の新築や改築の際には、周囲に合わせることが必要とされています。
小さな町や村には、必ずと言っていいほど緑の芝が広がった公園があり散歩道が設けられています。そして公園のみならず、商店街や、交差点、歩道のところどころにベンチが置かれ、散歩の途中に憩いの時間をすごすことができます。それはカップルであったり、新聞を読む人、お昼のサンドイッチを食べる人であったり。
人々にとって歩くことは自然なこと。住宅街や商店街には、歩行者の権利として歩行者用の小道が大切に何百年も維持されており、道路や町の開発から守られています。その他、車と歩行者が交差する一般道では、歩行者を優先としたルールや安全な歩道の整備など実用面もとても重要なことです。例えばイギリスでは、信号の無い横断歩道を歩行者が渡ろうとするとき、車は必ず止まり歩行者の横断を優先することが義務付けられています。もちろん大都会ロンドンでも例外ではありません。公園だけで代表的なものをあげれば、ケンジントンガーデン、グリーンパーク、ハイドパーク、セントジェームスパーク等。どの公園も緑が多く、沢山の花が植えられ大都会の喧噪を忘れさせてくれるものです。最近では、亡きダイアナ妃を記念したもので、これらの公園を結ぶルート「ダイアナ・プリンセスオブウェールズ記念散歩道」ができました。
このような環境は、一朝一夕に出来上がるものではありません。どのような街づくりをし、住宅環境を整えるのか。どのように都市や田園の風景を作り、これを守っていくのか。多くの人々が共通の意識を持ち、長い年月をかけてそれを実現させているから成り立つものです。これらのことは現代社会において重要視されがちな経済的効率性の追求や商業的競争原理といった尺度では、なかなか維持できない側面があります。日常生活において、何を大切にし、何を守っていくのか。人々の価値観の表れといえるでしょう。そして、イギリスは誇りを持って、伝統的な景観や美しい生活環境の維持を大切にしていると言えます。
街中の木々が緑におおわれ、あちこちに花々がいっせいに咲くイギリスの春。一年の中でも最も気候のよい時期です。この美しい季節に、ゆっくりと町や住宅街、そして公園を散歩してイギリスのウォークを楽しみませんか?もちろん途中のパブでビールを一杯飲んだり、カフェでお茶をすればもっと思い出に残る素敵な時間を過ごせるでしょう。 


マーラ・ヤマウチ











































