第4回 ハリーポッターの撮影地でレイコックで、タイムスリップ体験
August 2007
英国政府公認のブルーバッジ保有の観光ガイド
木島タイヴァーズ由美子さんが、見て遊んで食べて楽しむ一味違ったイギリスの歩き方をご紹介します!
■一歩足を踏み入れれば、中世の街並が広がる風景へ

ロンドンから200キロ位西に行きますと、お風呂の語源になった人気の観光地、 BATH があります。2000年前にローマ人が作ったお風呂も見学できますし、18世紀から19世紀にかけての作家、ジェーン・オースティンの作品から抜け出たような、洗練された家並みに、散歩する足取りも軽くなります。
しかし、 BATH からちょっとだけ足をのばすと、是非訪れていただきたい村が沢山あるのです。
例えば LACOCK です。ロンドンから CHIPPENHAM までは列車で一時間少し。
そこからバスでほんの20分行けばレイコックの村に到着です。
私は時代物のドラマや映画を見ると、まず一番先に、「これはどこで撮影されたのかしら?」とロケ地が気になります。英国で撮影が行われる場合は、セットではなく、実際にある場所を使う場合が多いのですが、その中でもレイコックは、例えば「ハリー・ポッター」や前記のオースティン作「プライドと偏見」、「エマ」などのロケ地として使われました。
一歩入れば、そこは中世の村そのもので、私たちが21世紀に生きていること自体が信じられないという錯覚に陥るでしょう。
それもそのはず、村全体がナショナル・トラスト(歴史建造物や美しい景観を保護管理する民間のチャリティ団体)が所有しているために、村は昔のままで残っているのです。
村は四辺の大通りに囲まれています。村に入ってすぐに目に入るのが1232年、ソールズベリー伯爵夫人が亡き夫のために建てた建物です。そこは16世紀まで、修道院として使われていました。
ソールズベリー伯爵といえば、あのロビンフッドに出てくるリチャード一世や、ジョン王の異母兄弟でした。写真のネガを発明したFOX TALBOTはこの元修道院に住んでいましたが、現在、科学博物館にある1835年に撮影された彼の最初の写真はここの飾り窓を写したものです。
14世紀の納屋は、領主が村人から土地代として受け取っていた穀物や羊毛を集める時に使った建物です。
又、‘クラック・ハウス’は14世紀、一日で屋根を仕上げれば所有権が与えられるというルールがあった時のもの。クラックと呼ばれた、むき出しになっている梁が側面に見られます。お隣さんやご近所の人たちが集まってチャッ、チャッと建てたわりには、頑丈に出来ています。700年もの間、しっかり建っているのですから。
ザ・ジョージというパブは1361年に建てられました。私はこのパブが大好きで、特にクリスマス時に、クランベリーソース添えのナッツ・ローフ(ヴェジタリアン用ミート・ローフとでも言いましょうか。)がメニューに載っていたら、是非お試しください。ナッツの香ばしい香りと甘いクランベリーソースのバランスが、今まで食べたどのナッツ・ローフよりもおいしくて、忘れられません。

レイコックでは、是非一泊してひと気の少なくなった夕方や朝に散歩してはいかがでしょう。そういう場合におすすめのホテルが1480年に羊毛商人の家として建てられた SIGN OF THE ANGELです。正面のドアを開けると、羊毛を運ぶ馬を裏庭に連れて行くのに使った小道があります。名前のANGELとは、天使のことではなく、中世に使われた金貨の名に由来していますが、私は特に2階のラウンジが好きです。
きしむ階段を登って行くと、もし冬であれば、赤々と燃える暖炉があなたを歓迎してくれるでしょう。その他、18世紀に酔っ払いや風紀を乱したひとを閉じ込めたロック・アップも見られます。ドアの下の隙間は、心やさしいひとが中にいる囚人に食べ物などを差し入れするためのものでした。
レイコックから6キロ半程のところにはランズダウン子爵が所有するBOWOOD HOUSEがあります。18世紀、風景庭園で最も有名だったケイパビリティ・ブラウンの設計による庭は40エーカーの湖のまわりが散歩コースです。しかし、何といってもお勧めは、5月から 6月にかけてのシャクナゲです。シャクナゲ通りは3キロ以上の長さがあります。
又、AVEBURYの村には紀元前2600年から2500年にかけて造られたヨーロッパでも最も大きなストーン・サークルのひとつがあり世界遺産になっていますし、ここは麦畑などに作られるミステリーサークルが多く出現することでも世界的に知られています。2000年には英国内で175のミステリーサークルが目撃されていますが、そのうちの70件がAVEBURYのストーン・サークルから25キロ以内で見つかっています。
大きな観光地からほんの少し足をのばせば、可愛らしい小さな村が点在していることが多いものです。特に英国には中世そのままで残っている村が沢山ありますが、そんな村では是非一泊しながらタイムスリップして、存分に昔を味わってください。たまには今という時を完全に忘れて遠い過去に生きているように時間を過ごすのも又、英国ならではの旅の一頁となることでしょう。