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第10回 「サヴィルロウ」
January 2010
世界中を駆け巡り、常に情報配信をしている今年も高城剛さんが独自の視点でイギリスをレポートする、「GOUK2009」連載スタート!

ロンドンに住んでいて、絶対にこれだけは買って帰ろう!とずっと思ってたのが、サヴィルロウのスーツ。 日本語の「背広」の語源となったとも言われる、オーダーメードのスーツ仕立て屋が立ち並ぶ道、その道の名前がサヴィルロウです。

はじめてロンドンに引っ越したときに、このサヴィルロウがあるメイフェア地区に住んでいたので、 頻繁にこの通りを歩いていて、いつもスーツを物色していました。 わずか200メートル強の道の両脇に並ぶ仕立て屋の数は実に30軒以上。 あてもなく、はじめて行く人に取って、どの店も非常に敷居が高いのですが、それは僕とて同じ事です。


そこで、友人に聞いて、インターネットを駆使して情報を集め、さらにBBCなどのドキュメンタリーを見て決めたのが、 皇太子などのカッティングを親子代々に渡って担当するマホーン氏。
彼は特定の店に勤務するのではなく、言わばフリーランスのプロフェッショナルで、 ただし仕事場としては、採寸時に指定されたショップに出向くスタイルを取ってます。 そこで早速、サヴィルローに出向いて採寸となりました。

 まず、どんなスーツを作りたいか、を僕から話すのではなく、挨拶のあとは、雑談で普段の僕の話。 サヴィルロウの仕立て屋は、ビスポーク・テイラーといい、Be Spoke、話す事からすべてはじまるのです。 そこで、僕の生活習慣や仕事での動き方などを話して、そこからデザインをはじめ様々なことを決めていく彼の手法は、 まるで敏腕コンサルタントのようです。

例えば僕が「スーツ来ても、ガンガン動くし、移動距離は年間で地球6周分ぐらいだと思います」などというと、 すぐに彼は「だったら、生地をソフトにするような当たり前のことではなくて、アームホールを大きく作り、 一見クラシックでしっかりしているのに、とても動きがダイナミックになるようにしよう」と即返答。
さすがです。生地を選ぶ場合も、太陽光、室内、蛍光灯下などで見え方がまったく違うので、 そのすべての光で確認しながら、ゆっくりと進んで行きます。


問題は、最終完成までの時間です。昨年11月にはじめての採寸があり、 その後フィッティングを繰り返し、一年後なんとなく形が見えてきます。一ヶ月ではありません、一年です。 その間、なにをやってるのか、よくわかりません。直接聞いてみると、忙しい、といいますが、一年ですよ、一年。
そして、どこのサヴィルローの店も、大体六ヶ月から1年ほどかかるそうです。日本で言う着物文化に近いかもしれませんね。

ちなみに僕の場合、オーダーしたのが2008年秋、いまはもう2010年になりましたが、最近やっと最終フィッティングのお知らせがきました。 この、実にゆったりとした速度こそが、ロンドン・クラシックスタイルなのです。 完成時には、このサイトでご紹介したいと思ってます。


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