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第1回 「ロンドンからの小さな旅」
April 2010
地球の歩き方 Gem Stoneシリーズ 「ロンドンから南へ。日帰りで訪ねる小さな田舎町」 との連動企画。ロンドンを起点として、気軽に訪れることのできる魅力ある村や町への旅をご紹介していきます。


誰にも教えたくない、自分だけの宝物のような町がある。
今回ご案内するライはまさにそんな町のひとつ。
高速列車の開通で近くなった南東イングランドの
カントリーサイドに足を延ばしてみませんか。



ライ駅に降り立てば、目の前には中世の雰囲気を色濃く留めた町並みが広がる。町を2分する緩やかな坂道(マーケット通り~ウエスト通り)を行けば、密輸業者の根城になっていたマーメイド・インのあるマーメイド通りにたどり着く。そこには玉石が敷かれた昔ながらの石畳が広がり、下り坂のマーメイド通りの向こうには周辺の丘陵が遠望できる。

ライはゆっくり歩いても2、3時間あれば、見つくしてしまうような広さ。チュダー朝様式の建物やアンティーク・ショップ、ギャラリーのウィンドーを眺めて歩くだけで、時間が経つのを忘れてしまう。

町の全容をつかみたいなら、セント・メアリー教会の時計塔に登ってみよう。屋上からは煉瓦色をした家々の屋根の連なりや緩やかに蛇行しながら湾に注ぐロザー川、そしてその先に海岸線も見渡すことができる。



セント・メアリー教会の時計塔は稼働している時計としては、イングランド最古のもののひとつ。1561年の建造当時のままに、今でも時を刻んでいる

時計塔からの眺望。かつては周囲を海が取り巻いていたライも、現在は土砂が堆積し、港は4キロ先に遠のいてしまっている



黒い木部に白壁の建物。壁面を覆い尽くすかのように広がる蔦、そして人魚の看板。 ライの歴史を語る上で外せないのがマーメイド・インである。創業は1420年。女性が好みそうなマーメイドというロマンティックなネーミングと趣のある建物ではあるが、18世紀には密輸業者たちの巣窟だった。良港として栄えたライのもうひとつの顔がここにある。

改装されてはいるが、書棚を模した隠し扉のある部屋があったり、かつて厨房の煙突だった場所には、大人ふたりがようやく隠れられる凹みが残っていたりする。そう言われてみると階段も微妙に折れ曲がり、先を見通すことができないように設計されている。そこかしこに仕掛けがあり、まるで忍者屋敷のようだ。

長い歳月が流れた今、入口付近の壁には、このホテルを利用した著名人たちのポートレート並べられ、来客を迎え入れている。



壁面いっぱいに飾られた著名人たちのポートレートやサイン。マーロン・ブランド、ソフィア・ローレンからジョニー・デップまで

五港同盟(サンクポーツ)の紋章。ライも13世紀に五港同盟に加わり、重要な港として繁栄した



繁栄を誇った古都には<掘り出し物>がある、という世の習いどおり、ライにもたくさんのアンティーク・ショップがある。大物の家具からキッチンウェアやジュエリーなどを扱う店が約30軒(!)もあり、その多くが川沿いのストランド・キーとその周辺に集中している。お土産にできる雑貨を扱う店が多いのが旅行者にはうれしい。

アンティークというと身構えてしまう人もいるが、買い付けを生業にするディーラーではないので、最初から宝物を掘り当てようなどとは思わずに、あくまでも自分にとっての<掘り出し物>を探そう。犬や猫といったテーマや自分のラッキーカラーで小物を選んでもいい。絵柄が気に入ったものの蓋がないティーポットだったら、花瓶に使ってしまってもいい。そんな発想でアンティークと向き合えば、きっと彼らの声が聞こえてくるにちがいない。



キッチン用品や家具など、オーナーのジェーンさんが選び抜いた商品が所狭しと並ぶ

某局の鑑定番組の元となったBBC局『アンティークロードショー』の鑑定士を務めるアンディ・マッコンネルさんのお店



小さな町ではあるが、ライには魅力的なティールームがたくさんある。
ロンドンにある一流ホテル出身のペイストリーシェフのいる店、中世そのままの内装が残された店、花が咲き誇るガーデンを併設した店、なかには薬局の雰囲気を残しつつ改装されたティールームなど個性派が揃っている。

町歩きに疲れたら、気に入ったティールームで一休みしよう。夕食までには時間があるけれど、アフタヌーン・ティーでは少し重すぎる。そんなときは、クリームティーがおすすめ。クロテッド・クリームとジャムでいただく美味しいスコーンと香り高い紅茶が、疲れを癒してくれる。甘いものが苦手な男性なら、キャロットケーキはいかが?



店名もそのままアポテーカリー(薬局)というティールーム。薬箱もインテリアとして活かされている

16世紀末に活躍した劇作家ジョン・フレッチャーの家だったティールーム(フレッチャーズ・ハウス)



オーガニックもいいけど、高コスト。ということで、旬で良質な食材が手軽に手に入るファーマーズ・マーケットがいま人気だ。ライのマーケットは毎週水曜日に開かれて、小規模ながらもライや周囲の町からの特産品が並ぶ。このエリアでは梨、リンゴそしてワインが特産品。そのほかにも肉類や魚、乳製品、パン類、ハーブ入りのビネガー、チャットニー、コンサーブ、マーマレードなど、さまざまな食品が販売される。



試食もOK。店の人とのふれあいも楽しい

ヘイスティングにお店を持つパン屋さんも出張販売


▼<ライ>の具体的なアクセス方法やショップ&ティールームの情報はこちら(地球の歩き方サイトへ)








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