2010年7月9日
このブログでも何度も書いていますが、イギリスはとにかく音楽、演劇、ビジュアル・アーツの底辺のレベルが高い。たとえばカムデン辺りのパブで、幾つかのバンドでまとめて数ポンドの入場料で歌っているセミプロのバンドを聴くだけでも、何だかとても得をした気がします。どのミュージシャンも実力は充分。あとはルックス、個性、オーラによって売れるかどうかが決まるのでしょう。
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ロンドンのパブの前でバスキングするミュージシャン
街のいたる所に音楽が溢れているのだから
音楽好きにならないはずがないでしょう
ロンドンのミュージシャンといえば、バスカーのことに触れないわけにはいかないでしょう。バスカーとはストリート・ミュージシャンのことですが、2003年、何とロンドンの地下鉄通路ではバスキング(パフォーマンスで通行人の小銭を集めること)が合法化されたのです。それまで違法の物乞いなのか、アーティストなのか定かでなかったストリート・ミュージシャンたちを、地下通路の「個性を付加するもの」(これってロンドンの行政の常套句です)とみなし、バスキング用の半円形「ステージ」(床に枠を描いただけですが)を主要駅に設けたのです。今では25駅に38ステージあるそうです。これって画期的なことですよね。世界でもロンドン初ではないかしら(他の国にもあったら教えてください)。
地下通路でのバスキングはライセンスが必要で、年2回行われる「オーディション」をパスしなければなりません。彼らは技術とジャンルの多様性を考慮して選ばれます。彼らの演奏が地下通路に響き渡っていると、通勤客も癒されるし、バスカーも商売になるし、持ちつ持たれつのとてもいいシステムだと思います。ウェストエンドの芝居が引ける時間のレスター・スクエアと朝のラッシュ・アワーのカナリー・ワーフのステージが、バスカーの間では最も競争率が高いそうです(これらの通行客が羽振りがいいのですね)。
Bank駅にいたアコーディオン弾き
実はこの人、Camden Canal(運河)でも
映画音楽のようなドラマチックなラテンの曲を
よく演奏していました
アルゼンチン出身で物心ついた頃から弾いているとか
恐らく楽譜は読めないけど
耳と指で全て暗譜している
才能があるとは思っていましたが
やはりロンドン交通局も彼を選んだのですね
このバスキングのアイデアがさらに進化し、いっそのこと、駅でミニ・コンサートを開いちゃおうという企画になったのが、ユーロスターの新発着駅、St. PancrasにおけるStation Sessionsです。7月末までの毎週木曜夕方6〜7時まで、駅の中央通路で国内外の選りすぐりのミュージシャンたちのライブを聴くことができます。アーティスのラインナップやこれまでの演奏のビデオはこちらをご覧ください。
映画『ハリー・ポッター』にも登場したSt. Pancras駅

ハリー・ポッターといえば
St Pancras隣のキングス・クロス駅

長い駅のプラットフォームをフル活用するため
たとえば9番線の手前半分を9a、後ろに9bという番号をつけ
1つのプラットフォームを分けて使ったりします
この写真はポッター・ファンのために作られた93/4番線(!)
本を読んだ方、映画をご覧になった方は
説明しなくても分かりますよね
ここからハリーはカートを押して魔法の国へ旅立ちます
キングス・クロス駅で探してみてください

ハリー・ポッターといえばハーマイオニー役のエマ・ワトソン
現在、彼女はアメリカのアイビーリーグ(ブラウン大学)の学生ですが
先日行われたグラストンベリー音楽祭に来ていた模様

The Dead Weatherというオルタナティブ・バンドのライブに来た
ジュード・ロウとシエナ・ミラー
一度別れてまたヨリを戻した二人が
以前ご紹介したカムデンのRoundhouseから出てきて
向かいのケバブ屋に行ったところをパチリ
タブロイドの記事はこちら
ハイド・パークでも夏になると野外コンサートが目白押しであることはお知らせしましたが、今月1日、Serpentine Sessionsという音楽フェスティバルが開かれました。その出演者の一人だったローラ・マーリングは、今、イギリスで最も注目を浴びる若手フォーク・シンガーと言っていいでしょう。

新聞付録の文化雑誌の特集で表紙になったローラ・マーリング
知的且つアンニュイな雰囲気が彼女の魅力
デビュー当時は下記のビデオのとおり
ナチュラル・ブロンドだったのですが
カラリングに失敗し、焦げ茶色の髪になったとか
(でも、とっても似合ってます)
ちょっとスザンヌ・ヴェガみたい?
ローラは弱冠20歳ですが、2年前にソロ・デビュー。全て自作の曲で、レコーディング・スタジオを経営していた父親が好きだったジョニー・ミッチェルを聴いて育ったそうです。先日のハイド・パークのライブでも3,000人の聴衆を前に「暗い歌でごめんなさい」と最初に断りがあったように、彼女の歌の内容は不幸な恋愛ばかりなのですが、これが老若男女にウケているのです。
実は私はローラの親戚にあたるフィリスという女性を通じて彼女の存在を知りました。フィリスはロンドン南西部のPutneyでBriarwalkというB&B(民宿)を経営しています。4年前に亡くなった彼女の夫で、レネル男爵3世のTremayne Rodd氏はスコットランド・リーグのプロのラグビー選手だったそうです。
このRodd氏の従兄弟には3人の息子が生まれました。その次男Damian Elwesは画家で、ブルース・ウィリス、デミ・ムーア、ロブ・ロウ、ジャック・ニコルソン、アル・パシーノ、ミック・ジャガーは彼の作品のコレクターだそうです。今月16日まで、ロンドンのMorton Metropolisというギャラリーで彼の個展が開かれています。三男のケアリー・エルウィズ(ケーリー・エルウェスと記載されることも)は映画俳優で、1984年、『アナザー・カントリー』でルパート・エヴェレット扮する主人公が恋に落ちるパブリック・スクールの下級生役で注目され、1987年の美しい映画『マーシェンカ』ではピーター・ブルックの娘、イリーナ・ブルックと共演。1987年に出演した『プリンセス・ブライド・ストーリー』はロマンチックな不滅のおとぎ話なので、皆さんもご存知かも。思えば80年代は日本でもイギリス上流階級を賛美する作品を観る機会が沢山あり、夢見る幸福な時代でした。ケアリーを初めて映画で見た時は、今、世界中の女性がトワイライト・サーガのロバート・パティンソンに抱くイメージのように、この世界にはなんて美しい生き物がいるのだろうと思いました(笑)。
フィリスと出逢ってこれらの事実を知った時、「あ、つながった」って思いました。好きなものを追いかけていると、いつか必ずどこかでそれにめぐり逢うんです。
St Pancras International(Station Sessionsは鑑賞無料)
Pancras Road, London, NW1 2QP
Tel 020 7843 7688
Morton Metropolis(入場無料)
41-42 Berners Street, London W1T 3NB
Tel 020 7636 1177






