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イギリスに滞在中のヴァージン特派員達が、イギリスの「今」の情報をお届けします!!

RICA プロフィール


ビートルズに始まるブリティッシュ・ロック、マーチャント&アイヴォリーの映画、森嶋道夫著『イギリスと日本』の洗礼を受け、精神的豊かさと最先端文化の発信地と信じた英国に移り住んで12年のライター/プロデューサー。
Ricaのコラム http://h3m.jp/


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ロンドンにいると質の高いイベントが山のようにあるのですが、ありすぎて全てを網羅できず、もどかしくなります。舞台芸術だけでなく、ビジュアル・アーツ、コンサート、野外イベント、それ以外の単発イベントも含めると何が何だかもう訳が分かりません。とりわけ今月はスポーツもウィンブルドン・テニスにアスコット競馬、ワールドカップまであります。あれも観たい、これも観たいと思っているうちに、気がつくと公演が終わっていたり、数カ月前にチケットを予約したのを忘れてしまうことも度々あります。


今年は英国ロイヤル・バレエとロイヤル・オペラが揃って来日公演を行うそうですね。ロンドンでは今年60周年を迎えたイングリッシュ・ナショナル・バレエが、Royal Albert Hallで「白鳥の湖」を上演しています。同ホールの客席に囲まれた楕円形ステージで展開する世界は、本当に湖の上で白鳥が舞っているようで、この上なく幻想的です。同バレエ団プリンシパルの高橋英理奈さんも10、12、19日に主演します。



Royal Albert Hallで上演されているEnglish Nationa Balletの『白鳥の湖』

 

一方、ロイヤル・バレエのほうは1931年創立ですから、来年が80周年ですね。階級社会であるが故に、芸術のアウトリーチ活動における先進国であるイギリスでは、オペラのチケットも天井桟敷の立見券が7ポンドから入手できます。これなら学生でも手が届く値段ですね。また、ロイヤル・オペラ・ハウスでは2年前からロンドンの映画館でもオペラの生中継を始めました。ハイヴィジョン放送で視聴するオペラは臨場感たっぷりで、劇場に引けを取らないクオリティです。これなら映画館に行く気軽な感覚でオペラを楽しむことができますね。


さらに野外スクリーンでもオペラとバレエが無料でロンドンと英国13都市で同時に中継生放送されます。ロンドンのトラファルガー広場と金融街カナリー・ワーフのカナダ・スクエアに巨大スクリーンが設置されます。6月8日の夜7時から『カルメン』、10日7時半からはロイヤル・バレエのChroma/Tryst/Symphony in C、そして7月13日7時半からはヴェルディのオペラ『シモン・ボッカネグラ』です。『カルメン』についていえば、8日の6時45分から同広場でオペラを観る前に皆でカルメンを唱いましょうという企画もあり、6時15分からそのコーチングがあるそうです。さらに『カルメン』に関していえば、現在、145ポンド以上の劇場1階席を1枚の値段で2枚購入できるというお得なオファーまであります。ロンドンらしい特典です。

 

 


ロイヤル・オペラ・ハウスの『カルメン』から

 

トラファルガー広場では様々なイベントが頻繁に行われています。ロンドンにいると、なにげない場所で映画スターに出くわしたり、劇場に来ていたり、すれ違ったりしますが、私はどうもアラン・リックマン(彼のハリー・ポッターのスネイプ教授は最高)とご縁があるらしく、彼とは劇場を中心に何度も遭遇しています(演劇の趣味が同じということですね)。2004年9月にも、トラファルガー広場の巨大スクリーンでサイレント映画の傑作『戦艦ポチョムキン』の上映と、それに合わせてペット・ショップ・ボーイズによる独自のサウンドトラックの無料ライブ演奏がありました。小雨が降る夜でしたが、気がつくと、私の隣にいたのがリックマンで、彼も映画終了までの1時間半、ずっと立って鑑賞していました。リックマンとはまたどこかでひょっこりお会いすることでしょう。

 


ペット・ショップ・ボーイズが制作した

『戦艦ポチョムキン』のサウンドトラック

軽くて、ポップで、これはこれでいいと思う


コンテンポラリー・ダンスのメッカ、サドラーズ・ウェルズ劇場では、市川海老蔵が『義経三本桜』を上演しているのは皆さんもご存知ですよね。私は日本に帰ると必ず歌舞伎を観るのですが、ロンドンでこんなに歌舞伎や日本の伝統芸能に触れる機会があるとは思いませんでした。それだけロンドンが国際都市なのでしょう。ロンドンで海老蔵を観るのは二度目。昨年は蜷川歌舞伎『十二夜』というのもありました。サドラーズ・ウェルズ劇場から請われての公演となった海老蔵は、日本を代表する貴重なアーティストに成長しましたね。他にも宮本亜門氏演出のFantasticksロンドン公演も始まったばかり。ミュージカルというジャンルとはいえ、いきなりウェストエンド・デビューです。

 

サドラーズ・ウェルズの起源は面白くて、17世紀に事業家のサドラー氏が発掘した薬効のある井戸(故にSadler's wellsという)のほとりに建てたミュージック・ハウスが始まりとか。どうやらこれにつられて他の人たちも井戸を掘り始め、サドラー氏の井戸が珍しくなくなってしまったため、シアターが主力になっていったようです。現在、同劇場では2つ以上の異なる演目のチケットを同時に購入すると、20%の割引が受けられます。ここのプログラムは想像をかき立てられるものが多く、たとえば今月上演されているBounce's Insane in the Brainは、1975年のアメリカ映画『カッコーの巣の上で』をダンスで表現したらどうなるかというのを見せてくれます。

 

 

 

Bounce's Insane in the Brain

2年前のPeacock Theatreでの公演から

 

他にも企画がユニークだと思ったのが、現在上演中のサドラーズ・ウェルズのプロダクション、Electric Hotel。上演場所は劇場ではなく、キングス・クロス駅の裏のひとけのない寂れた空地。ここに作られた仮設セットのホテルが舞台。ヒッチコックの映画『裏窓』のように、ホテルの窓を通して、それぞれの部屋の中の出来事が見える仕掛けになっています。音楽とダンスで繰り広げられる不可思議なサスペンス。周囲の廃屋が一層雰囲気を盛り上げます。観客は渡されたヘッドフォンで音響効果を聴いているので、通行人には音のない怪しい集会に見えるかも。公演の一部はこちらをご覧ください。

 

 

「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ」というジョンソンの言葉通り、ロンドンにはsomething for everyone、誰にとっても何か観たいもの、したいことがある街なのでしょう。これでもっと冬が短かく、暖かく、天気が良ければ最高なのにとも思いますが、長く暗い冬や陰鬱な日がなければ、これだけ多くの人が屋内に籠って何かを創造したり、難しいことを考えたりしないのかもしれませんね。

 

Royal Albert Hall 

Kensington Gore London SW7 2AP
Tel 020 7589 8212


Sadler's Wells
Rosebery Avenue London EC1R 4TN
Tel 020 7863 8198 






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