2010年5月12日
ブティックやカフェ、ナチュラルフードのお店などで賑わうハイストリート.ケンジントンから少し北に入るとそこは住宅街。19世紀後半にできた真っ白の高級住宅が並びます。この辺りの土地は1740年代からフィリモア家が所有していた場所で、19世紀中ごろまでは商品としての野菜や果物が栽培されていたり、農家や公園があった地域でした。その後は開発が急激に進み、ファッショナブルな地域に変身していきます。特に19世紀後半にはレンガの上に真っ白のスタッコ(しっくい)を塗ったテラスハウスが次々と建てられていきました。
1875年、スタッフォード.テラスの18番地の家を買ったのがエドワード.リンリー.サンボーンです。その前の年、マリオンと結婚したサンボーン氏は、風刺雑誌‘パンチ’のために漫画を描いたり、ジョン.テニエル(「不思議の国のアリス」のイラストで有名)の下で仕事をしたりその世界ではかなり成功していたようです。サンボーン夫妻はこの家で生まれた二人の子供と、数人の召使とともに生涯この家で暮らすことになります。因みに彼らの子孫のひとりが現女王の妹君であったマーガレット王女の前夫君であるスノードン卿です。
さて、この家が今一般に公開されていることを知る人は少ないでしょう。家の前を通っても、ほとんど気がつかない小さな看板があるのみ。見学の期間も限られていますし、毎日オープンしているわけでもありません。また、中に入ったとしても勝手に見学することはできず、ハウスガイドの後について回らなければいけません。一度に見学させていただけるのは14名まで。満員になることがよくありますので、予め予約をされることをお勧めします(下記のウェブサイトアドレスから)。今年は6月14日から9月10日までは休館です。
でも、ヴィクトリア時代の中産階級(ロンドンの中心のテラスハウスに住んでいた多くのひとがそうであるように)の人々の暮らしに興味がある方は是非、訪れてみてください。入いる時は『ご主人たちの玄関』から入るのではなく、通りから出ている階段を下りてサーヴァント用の入り口から入ります。ツアーが始まると、一旦外に出てから『ご主人たちの玄関』を使って再び家の中に入ります。私が訪れた時に案内してくれたのはマリオン夫人ご自身でした。(もちろん夫人になりきったガイドなのですが。)もちろん服装もヴィクトリア時代のものです。
「皆様、今日はようこそサンボーン宅へいらっしゃいました。ここへは馬車でいらっしゃいましたか?おや?貴方の服装は変わっていますね。女性でもオズボンをおはきになっていらっしゃる。最近の若い方の服装はどんどん変わっていきますね。」案内が始まると、瞬く間に19世紀の世界に引き込まれていきます。
玄関を入ったところはホールになっていて、壁はウィリアム.モリスの壁紙で覆われています。
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By courtesy of 18 Stafford Terrace
家の部屋では中心的な存在の応接室(Drawing Room)は、1878年に増築した部分を含め、家の前の通りから後ろの庭までの長い部屋になっています。
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By courtesy of 18 Stafford terrace
増築した部分はサンボーン氏がスタジオとして使っていました。
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By courtesy of 18 Stafford terrace
モーニングルームはマリオン夫人がお客様をお迎えしたり、サーヴァントに日々の仕事のアレンジを伝えたりした部屋です。

By courtesy of Stafford terrace
このベッドルームはサンボーン氏の母が使っていた部屋ですが、その後息子のロイの部屋になります。彼はイートン校、オックスフォード大学へと一応は進みますが、勉強にも、仕事にもあまり熱心ではなく、昼間はよくクリケットに熱中する彼の姿がローズやオーヴァルのクリケット場で見かけられたとか。
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By courtesy of 18 Stafford Terrace
マリオン夫人に案内された1時間半はあっという間に過ぎ去りました。最後に見学者の一人が「ところでご主人のお墓はどこにあるのですか?」と質問して、「まあ、主人はなくなってはいませんのよ。」という夫人の言葉に皆さん爆笑。そうそう、私たちは今、19世紀後半の世界にいるんですものね。サンボーン氏は、お元気なはず。最後に夫人にご招待のお礼を述べて、ストラットフォード.テラス18番地をあとにした途端に21世紀の世界に引き戻されてしまいました。本当はもう少しヴィクトリア時代を楽しんでいたかったのですが。
www.rbkc.gov.uk/linleysambournehouse





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