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イギリスに滞在中のヴァージン特派員達が、イギリスの「今」の情報をお届けします!!

木島タイヴァース由美子 プロフィール


イギリス田舎周りとマーマレード作りを趣味とする。 人間より動物のほうが賢いと信じている在英年数30年以上の日本人。

ブティックやカフェ、ナチュラルフードのお店などで賑わうハイストリート.ケンジントンから少し北に入るとそこは住宅街。19世紀後半にできた真っ白の高級住宅が並びます。この辺りの土地は1740年代からフィリモア家が所有していた場所で、19世紀中ごろまでは商品としての野菜や果物が栽培されていたり、農家や公園があった地域でした。その後は開発が急激に進み、ファッショナブルな地域に変身していきます。特に19世紀後半にはレンガの上に真っ白のスタッコ(しっくい)を塗ったテラスハウスが次々と建てられていきました。

 

1875年、スタッフォード.テラスの18番地の家を買ったのがエドワード.リンリー.サンボーンです。その前の年、マリオンと結婚したサンボーン氏は、風刺雑誌‘パンチ’のために漫画を描いたり、ジョン.テニエル(「不思議の国のアリス」のイラストで有名)の下で仕事をしたりその世界ではかなり成功していたようです。サンボーン夫妻はこの家で生まれた二人の子供と、数人の召使とともに生涯この家で暮らすことになります。因みに彼らの子孫のひとりが現女王の妹君であったマーガレット王女の前夫君であるスノードン卿です。

 

さて、この家が今一般に公開されていることを知る人は少ないでしょう。家の前を通っても、ほとんど気がつかない小さな看板があるのみ。見学の期間も限られていますし、毎日オープンしているわけでもありません。また、中に入ったとしても勝手に見学することはできず、ハウスガイドの後について回らなければいけません。一度に見学させていただけるのは14名まで。満員になることがよくありますので、予め予約をされることをお勧めします(下記のウェブサイトアドレスから)。今年は6月14日から9月10日までは休館です。

 

でも、ヴィクトリア時代の中産階級(ロンドンの中心のテラスハウスに住んでいた多くのひとがそうであるように)の人々の暮らしに興味がある方は是非、訪れてみてください。入いる時は『ご主人たちの玄関』から入るのではなく、通りから出ている階段を下りてサーヴァント用の入り口から入ります。ツアーが始まると、一旦外に出てから『ご主人たちの玄関』を使って再び家の中に入ります。私が訪れた時に案内してくれたのはマリオン夫人ご自身でした。(もちろん夫人になりきったガイドなのですが。)もちろん服装もヴィクトリア時代のものです。

 

「皆様、今日はようこそサンボーン宅へいらっしゃいました。ここへは馬車でいらっしゃいましたか?おや?貴方の服装は変わっていますね。女性でもオズボンをおはきになっていらっしゃる。最近の若い方の服装はどんどん変わっていきますね。」案内が始まると、瞬く間に19世紀の世界に引き込まれていきます。

 

玄関を入ったところはホールになっていて、壁はウィリアム.モリスの壁紙で覆われています。

 

 

By courtesy of 18 Stafford Terrace

 

家の部屋では中心的な存在の応接室(Drawing Room)は、1878年に増築した部分を含め、家の前の通りから後ろの庭までの長い部屋になっています。

 

 

By courtesy of 18 Stafford terrace

 

増築した部分はサンボーン氏がスタジオとして使っていました。

 

 

By courtesy of 18 Stafford terrace

 

モーニングルームはマリオン夫人がお客様をお迎えしたり、サーヴァントに日々の仕事のアレンジを伝えたりした部屋です。

 

 

By courtesy of Stafford terrace

 

このベッドルームはサンボーン氏の母が使っていた部屋ですが、その後息子のロイの部屋になります。彼はイートン校、オックスフォード大学へと一応は進みますが、勉強にも、仕事にもあまり熱心ではなく、昼間はよくクリケットに熱中する彼の姿がローズやオーヴァルのクリケット場で見かけられたとか。

 

 

By courtesy of 18 Stafford Terrace

 

マリオン夫人に案内された1時間半はあっという間に過ぎ去りました。最後に見学者の一人が「ところでご主人のお墓はどこにあるのですか?」と質問して、「まあ、主人はなくなってはいませんのよ。」という夫人の言葉に皆さん爆笑。そうそう、私たちは今、19世紀後半の世界にいるんですものね。サンボーン氏は、お元気なはず。最後に夫人にご招待のお礼を述べて、ストラットフォード.テラス18番地をあとにした途端に21世紀の世界に引き戻されてしまいました。本当はもう少しヴィクトリア時代を楽しんでいたかったのですが。

 

www.rbkc.gov.uk/linleysambournehouse

 

 

 




‘イギリスでブルーベルのない春なんて、春そのものがキャンセルになったと同じこと’といつかどこかで読んだことを覚えています。ちょうど日本でゴールデンウィークに入るころ、英国の森林には一面に鮮やかなブルーのカーペットが地面を覆います。実は私には年に2回それはそれは楽しみにしている時期があって、ひとつがマーマレード作りが始まる1月、そしてもうひとつが5月のブルーベルの時期です。大袈裟と言われるかもしれませんが、私にとってのブルーベルは麻薬のようなもので、何度見ても、もっともっと見たくなる、だから毎年この時期を楽しみにしているのです。ただ今年は過去30年以来一番寒い冬の影響で、例年より3週間後になるかも?と新聞では伝えていました。

 
 
       
 
4月17日 ロンドン北西部のSarrattの町近くの森林で。
 
 
 
 
4月23日同じ森で。
 
 
さて、ロンドンにある自然史博物館Natural History Museumでは毎年「ブルーベル調査」というものを行っています。これはスパニッシュブルーベルの侵入によって、ネイティヴのイングリッシュブルーベルがだんだん少なくなってきたことで、イングリッシュブルーベルを保護する目的もありますが、開花の時期を観察することが地球の温暖化の研究にはとても貴重だからです。つまり年々、開花の時期が早くなってきているのは温暖化に関係があるという見方です(今年は例外ですが)。きっと日本の桜の開花も同じなのでしょうね。誰もが参加できるこの調査はそれぞれが色々な場所で観察した結果を自然史博物館に送ります。
 
http://www.nhm.ac.uk/nature-online/british-natural-history/survey-bluebells/index.html
 
 
札幌の友人が「イングリッシュブルーベルを買って庭に植えた」というので、それが本当のイングリッシュか、またはスパニッシュかスパニッシュ系の混血か、非常に興味のあるところです。本人は絶対的な自信を持っているようですが。英国では「イングリッシュブルーベル」と宣伝して実際にオンラインで購入したものがスパニッシュだったという話をよく聞きます。日本ではそんな悪徳業者はいないと思いますので、友人のブルーベルも多分イングリッシュなのでしょう。札幌も今年は春が遅く今、スノードロップが咲いているだけで、イングリッシュブルーベルの方はまだつぼみさえつけていないそうです。
 
では、イングリッシュとスパニッシュブルーベルの違いを見分けるにはどうしたらいいのでしょう。まず、イングリッシュは筒のような長いベル状の花で先が後ろに反り返っています。(上記の自然史博物館主催の調査のウェブに載っている写真をご覧ください)スパニッシュは花がお茶碗のように短く先は少しだけ外側に反り返っています。またイングリッシュは甘い香りがありますが、スパニッシュはほとんどありません。花粉の色でも見分けられます。イングリッシュはクリーム色ですが、スパニッシュ、または混血はグリーンがかったりしていてます。何といっても一番わかりやすいのはスパニッシュ系は茎のまわりに平均に花をつけて茎も真っ直ぐですが、イングリッシュは片面だけにつくことで花が開くとその重みに耐えかねて茎が上から下に垂れ下がっています。
 
今年は5月いっぱいブルーベルが英国のどこかで見られるかも?ということですからこれから英国にいらっしゃる方は是非、ブルーベルウォークをされてはいかがでしょう。ロンドン内ではキューガーデンで見ることができますが、可能であれば1600年より前からある森林などに行って野生のブルーベルが木下一面に咲いているのを見ていただきたいと思います。
 
写真は4月26日のウェンドーヴァー付近のブルーベルウォークの時に撮影したものです。本当のブルーベルの色が写真に出ないのが残念です。
 
 
         
 
 
 
 
 
        
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 






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