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イギリスに滞在中のヴァージン特派員達が、イギリスの「今」の情報をお届けします!!

木島タイヴァース由美子 プロフィール


イギリス田舎周りとマーマレード作りを趣味とする。 人間より動物のほうが賢いと信じている在英年数30年以上の日本人。

チェルシーフラワーショーに行ってきました。王立園芸協会(RHS)が主催するこのショーは今では、世界で最も注目を集めているフラワーショーで毎年5月末に開催されます。見学者も熱心ですが、出展者は18ヶ月も前から準備にかかる人もいるとか。この5日の間に自分のガーデン、または植物が最高の姿になるように色々苦心しているそうで、中にはスペインにまで花を持って行って開く時期を調節したという話も聞きました。

 

 

 

 

 

 

王立園芸協会が設立された1804年はコンテストはもっぱら誰が一番大きなキャベツを作ったかなどが競われたといいます。今では野菜は花の影に隠れてしまっていますが、それでも美しさは花に負けていません。

 

 

アウォードはゴールド、シルバーギルド、シルバー、ブロンズと4種類ですが、その数は決っていません。RHSの審査の基準が満たされていて、優れているガーデンや植物にメダルが渡されます。昨日その結果が発表されました。ゴールドの中でも最優秀賞(ベスト.イン.ショー)はデイリー.テレグラフ新聞社がスポンサーになったショーガーデンです。

 

 

BBCのインタビューに答えるデザイナーのアンディ.スタージォン氏。

 

 

イーデン.プロジェクトというコーンウォールのガーデンは今までのチェルシー.フラワーショーの中でも一番大きなショーガーデンで、多くのホームレスや囚人たちが作り上げたガーデンです。シルバーメダルを獲得しました。

 

    

 

日本からは連続3回金メダル獲得者の石原和幸さんが今年も出展されました。『風花 かざはな』と名づけられた今年のショーガーデンは、屋根上に流れる水が不思議と気持ちをおだやかにしてくれます。

 

 

外からほんの少し見えるセンターのテーブルに夜空を見上げながら水の音と共に自然に溶け込む自分の姿を想像してみました。

 

 

残念ながら今年はシルバーメダルでしたが、エリザベス女王が特に石原さんのお庭にお入りになって、‘Amazing!’と言われたそうです。そして来年も是非、出展してくださいと。この言葉は石原さんにとっては金メダルを取るよりもうれしいことだったとお話されていました。「エリザベス女王に励まされました。来年も必ず来ます。」とガーデンに対する熱いお気持ちが奥深く伝わってきました。「花の命は短いけれど、見た人の感激は永遠に残る」という言葉が印象に残ります。

 

 

石原さんにとっての今年のメダルは、女王様からいただいたプラチナメダルといえるのではないでしょうか。

 

 




 過去500年に亘って英国王室が収集してきたロイヤルコレクションは膨大なもので、そのうちの3000点が大英博物館、ナショナル.ギャラリー、ヴィクトリア&アルバート美術館に長期貸し出し出されているそうです。その他のものもさまざまな特別展や、バッキンガム宮殿やウィンザー城などで一般公開されています。

 バッキンガム宮殿に隣接しているクィーンズギャラリーでは、現在「ヴィクトリア&アルバート ~ アート&ラヴ」という特別展が催されています。これはヴィクトリア女王(1837~1901)とその夫君であったアルバート公が婚約した1839年から、アルバート公が亡くなる1861年までの22年間の間にお互いに贈ったプライベートの芸術品400点が展示されています。

 

例えば下記の絵は1834年、アルバート公24歳の誕生日の贈り物としてヴィクトリア女王が画家ウィンターホルトに注文したもので、当時の流行だった丸めた髪形ではなく自然に垂らしているのが女性としてのヴィクトリア女王を強調しています。女王の日記には「秘密の絵」「愛するアルバートのお気に入りの絵」と記されています。

 

Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II
 
 
ヴィクトリアは1819年にケンジントン宮殿で生まれました。父であったケント公爵はヴィクトリアが8ヶ月の時に亡くなり、子供のいなかった叔父ウィリアム4世の後を継いで女王になったのは彼女が18歳の時でした。
 
 
一方アルバートはヴィクトリアと同じ年1819年にサクセン.コーブルク.ザールフェルトのプリンスとして生まれました。二人が出会ったのは1836年で、ヴィクトリアの17歳の誕生日の祝宴にアルバートが父、兄と共に出席した時のこと。ここでヴィクトリアは知的でユーモアのセンスにあふれた青い目の美しい青年に一目ぼれします。1837年に叔父の後を継いで女王となったヴィクトリアですが、そのころアルバートはボンの大学で学んだあと、フローレンス、ローマ、ナポリを回り外遊(グランドツアー)でさまざまな芸術作品に出会うチャンスをもちます。1839年に再び英国を訪れたのは公式には知られていなかったにせよ、ヴィクトリアからの結婚のプロポーズを受けるためだったようです。このプロポーズが受諾された時のヴィクトリアの日記にはこう書かれてあります。「ああ、天使のようなアルバートに愛される喜びは、言葉では表しきれません。彼は完璧です。美しさも、そして全ての面において完璧なお方....」
 
 
Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II
 
 
こうして1840年にセント.ジェームス宮殿で結婚式が行われました。この結婚は二人に大きな幸せをもたらしました。ヴィクトリア女王の日記にはふたりの深い愛情が記されています。『王』というタイトルはヴィクトリアの意思に反して生涯与えられなかったアルバート公ですが、政治に関しても深い知識を持った彼は、女王が17年の間に9人もの子供を出産、忙しくしている間は彼女に変わって執務をとったりしました。
 
このブローチは、結婚の記念にアルバート公からヴィクトリアに贈られたものです。「もっとも愛するアルバートからの贈り物....ダイヤに囲まれた大きなサファイアのブローチは、本当に美しいものです。」
 
 
 
Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II
 
 
贈り物は高価なものだけとは限りません。ヴィクトリア女王自らの手によるスケッチも含まれます。
 
 
 
Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II
 
 
この絵はワイト島にあるオズボーン宮殿のダイニングルームに掛けられていたもので1850年にプリントが大衆の中に出回りました。女王でありながら母親の模範でもあるといったヴィクトリア女王の姿を強調したものです。女王の右に立っているのが後のエドワード7世です。
 
 
 
 
 
Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II  
 
 
生まれながらにして、また外遊で身に着けたアルバートの芸術感覚はヴィクトリア女王に大きな影響を与えます。特に当時はあまり好まれていなかった中世の絵画の中でも特にクラナックの絵はロイヤルコレクションが所有する15枚のうち、12枚がアルバートによって入手されたものです。
 
 
1340年ころにイタリアのルネッサンス画家でありジオットの弟子でもあったべルナード.ダディによって描かれた「聖母の結婚」はアルバートが収集したオールドマスターの絵画の中でも代表作のひとつです。
 
 
 
 
Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II
 
 
この絵はウィリアム.エドワード.フロストによって1847年に描かれた「牧神と森のニンフに囲まれたウナ」です。
 
 

Credit line: Royal Collection (c) 2009, Her Majesty Queen Elizabeth II
 

 
 
アルバート公が文化に貢献したことは1851年にロンドンで開かれた万国博覧会(The Great Exhibition)の主催者のひとりが彼であったことからもうかがえます。このためにハイドパークに建てられた水晶宮(クリスタルパレス)は正にヴィクトリア時代のシンボルともいえるものでした。出展者は8000件を超え、600万人の人を集めました。ヴィクトリア女王も開催5ヶ月の間に33回訪れています。開会式の時のヴィクトリア女王の日記にはこう書かれています。「私たちの生涯で最も偉大で輝かしい日。アルバートの名が永遠に響き渡ることは私の誇りであり喜びです。」
 
このころがヴィクトリアとアルバートにとっては最高に幸せだったのではないでしょうか。元来からだがあまり丈夫ではなかったアルバート公は万国博の10年後、42歳という若さでこの世を去りました。それからのヴィクトリア女王の40年間の人生は長く淋しいものだったようです。






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