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イギリスに滞在中のヴァージン特派員達が、イギリスの「今」の情報をお届けします!!

木島タイヴァース由美子 プロフィール


イギリス田舎周りとマーマレード作りを趣味とする。 人間より動物のほうが賢いと信じている在英年数30年以上の日本人。

日本に帰ると、いつも「ああ、この国はまっすぐだなー。」と思います。いいえ、政治のことを言っているのではありません。建物のことです。イギリスには、古い建物が沢山残っていて、何百年もたった木や煉瓦が曲がっています。地震は、ほとんどないに等しい国なのですが、それでも地球はいつも動いています。そのままで半永久的に建っていることはあり得ないのです。

皆さんも、ヨークや、チェスターに行けば、レストランの床が片方に傾いていることに気づかれるでしょう。教会以外の建物ではバースの町では一番古いといわれるサリー.ランのレストランは17世紀のもの(部分的にはもっと古いところもあります)。特に2階にある部屋に行けば、まるで乗っている電車がキューカーブに差し掛かったように、窓際のベンチに座ると体が傾いてしまいます。(実際は傾いているのは、体ではなく、ベンチが置かれている床なのですが。)

私は、そういう傾いた建物が好きです。出来た時は、まっすぐでも、こう傾いていると、時の経過を感じずにはいられません。知り合いの多くは数百年前の家に住んでいます。彼らは、曲がった家の方が味があって、「住み心地最高」と心底から思っているようです。

デダムの村の民家の煉瓦は、ひとつひとつの色で古さを感じます。それと同時に曲がった木枠の家はまるでマッチ棒でできているかのように危なっかしく建っています。でも、心配無用。こういう家は今、建てられた家より、ずっと長持ちするでしょうから。

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ヨークのシャンブル通りは、横の壁が倒れそうだし、上からも家が落ちてきそうです。

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ウェールズの聖デイヴィッド大聖堂の内部は、壁どころか、柱まで歪んでいます。

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やはりウェールズにあるコールディ島に建つ聖イルタッド島の塔は、ピサの斜塔も顔負けという位、傾いています。

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ライの町の民家で見つけた煙突は、「これで煙がちゃんと空に登るのかな?」と思うくらいひん曲がっています。

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コッツウォルズでのウォーキングの際に前を通ったマナーハウスの門と壁は、波打って曲がっていました。

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「どんなに曲がっていても、絶対に壊れないからね。」と言う建物たちの声が聞こえてくるようです。




私たち観光ガイドは、お客様からの質問で今まで何とも思わなかったことでも、よく考えると、英国という国が、もっと見えてくるということがよくあります。

例えば、先日、日本からのお客様からこういう質問を受けました。「この国では、町を歩いていても、観光していても、住所とは関係ない数字があちこちで目に入ります。あれは何でしょう?」よくきいてみると、それはその建物なり、物なりができた年代のことなんですね。

例えば、チェスターにある時計台は、ロンドンのビッグ.ベンに次いで、よく写真を撮られる時計台ですが、ここにある1897というのは、この時計台がヴィクトリア女王戴冠60周年を記念して作られたことを示しています。

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コッツウォルズにあるボートン.ハウスのガーデンには1778という年代が記されたガーデンファニチャーがあります。もっとも最初は、ガーデンファニチャーとして作られたかどうかは、わかりませんが。馬の水飲み桶だったのかもしれません。

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ウェンドーヴァーの町の民家には、リフォームされた時につけた樋の水を流すための筒に1725の年代が見られます。

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また、外で見られるものではありませんが、ヘンリー8世の2番目のお后であったアン.ブリン(最近の映画『ブリン姉妹』で日本でもお馴染み)が育ったヒーヴァー城には、彼女の父親の時代に作られた家具がありますが、そこにも年代が。

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何故かな?と考えました。 それぞれのひとは、自分がその時に生きていたことをこういう形で、歴史の中に証拠を残したかったのでしょうね。その気持ち、わかる気がしますね。時々大聖堂の石の隠れたところから、中世に、工事に携わったひとの物と思われる靴などの個人の所有品が見つかったりします。これも、その大聖堂が造られた時に、自分が関わっていたのだという足跡を残したかったのでしょう。特に古いものを大切にするひとが多いこの国では、昔のひとの気持ちが今でも、しっかり生きていることは確かです。

次回、英国を訪れる方は、樋や煙突、建物の壁など、普段は、ただ通り過ぎるだけのものに、気をとめてみてください。そして、もし?と思うことがあったら、是非私たちに質問してください。お客様からの質問が、私たち観光ガイドの仕事にはかけがえのない情報資源につながるのです。







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