2年半に亘って書いてきたブログも今回が最後になりました。勝手なことを独断と偏見の濃縮ジュースのように書いてきましたが、私には日本の皆さんと直接お話をしているような時間がとても貴重で楽しいひと時でした。
ここ数ヶ月「最後のブログにふさわしい題名は?」と考えていました。色々思いつくものはあったのですが、ブロガーのプロフィールにマーマレードのことと動物のことが載っていましたのでこの内容で締めくくることにしました。まずマーマレードです。
英国の冬は長く灰色の空が毎日続くので例年家でおとなしくしている日が多いのです。あっ、でもだからといってこの時期の英国はだめなんて思わないでくださいね。その灰色の空もまた美しく、葉っぱのない木々の枝がまるで針のように空に伸びていてたまらなく綺麗なものです。
さてその冬のある時期、つまり1月は毎年私の「マーマレード作り」の儀式が行われます。儀式といえば大袈裟ですが、キッチンで朝から晩まで、毎日毎日オレンジの皮を細かく切ったり、お鍋の底が焦げ付かないように、たまには火傷をしそうになりながら地獄谷のように沸騰したマーマレードをかき回したり。これが毎年毎年儀式のようにちゃんと行っていることです。
さて、マーマレードに使うオレンジにも色々ありますが、何故1月かと言えば英国ではセヴィルオレンジを使うことが多く、それが店頭に出回るのが1月の短い期間だけなのです。このオレンジは、そのままでは苦くて、酸っぱくて食べられませんが香りが抜群によく、マーマレードにすればおいしくいただけます。あのマーマレード独特の苦味もこのセヴィルオレンジ(写真)が原因です。今では苦味のないものは物足りないさえと思われるほどになりました。
今ではオレンジで作るマーマレードも、もとはといえばクインスを使って作られていました。下の写真がそのクインスなのですが、ご覧のようにそれはリンゴのような果物です。 ローマ人はギリシャ人からクインスを蜂蜜と一緒に時間をかけて煮れば、固まってくることを習いました。もちろんその時は、固まるのはクインスに含まれるペクチンが原因とは誰も知りませんでしたが。そのクインスで出来た食べ物がポルトガルから英国に入ってきた時にクインスのポルトガル名がマルメロであったことからマーマレードという言葉がきたようです。(他にも色々な説があります)つまり昔はマーマレードはクインスで出来ていたということになります。
さてここからが肝心です。オレンジが採れない英国でオレンジマーマレードが作られ、しかも世界中の人たちの多くがオレンジマーマレードといえば英国の名物と思っている人が多いのは何故でしょう。話は18世紀にさかのぼります。スペインのセヴィルから沢山のオレンジを運んだ船が難破してスコットランドのダンディーの港に入港しました。それを安く大量に買ったのがジェームズ.キーラーでその妻ジャネットはこの苦くて食べられないオレンジに砂糖を加え、ジャムにしたのです。オレンジにはペクチンが多く含まれていて最高のジャムが作られることを発見したのはつまりはスコットランド人(スコットランドに敬意を表して敢えて英国人とは言わないでおきましょう)だったのです。写真は以前ヴィクトリア朝時代のお屋敷を訪れた時にキッチンで見かけたマーマレードを作る道具です。その用途のためにだけ使う専門の道具があったということでも、今も昔もいかに英国人にとって朝食時のマーマレードが大切であるかがわかります。
私は毎年1月には20キロのセヴィルオレンジを買って一年分のマーマレードを作ります。市販のセヴィルオレンジとホームメードがこんなにも違うのは何故でしょう?それはマーマレードは一度に沢山作ることができないからです(と私は思うのですが)。しかも同じレシピで作ってもその都度微妙に硬さや味が違います。商品にするには全く同じマーマレードを作らなければいけませんよね。
数年前から糖尿病や血糖値の高い親戚や友人のためにザイリトール(キシリトール)を使ってマーマレードを作り始めました。「砂糖なしでできるわけがない。」と友人に言われましたが、今年はいいものが出来て友人も納得してくれました。
英国にいらっしゃってホテルやB&Bでホームメードのマーマレードにめぐり合ったら是非試してみてください。それは作る人によって色も味も、そして硬さや香りさえ微妙に違いますが、きっと時間をかけて作った人の気持ちが込められているはずです。またチャリティマーケットなど売られていることもありますし、時々マーマレードのコンクールも行われます。(写真)
さて、飼い主のいない犬猫のために新しいホームを見つけるバタシーのドッグズ&キャッツホームから3月に引き取ったアンバーは、そろそろ一年になろうとしている今、大分慣れてきました。虐待に合ったようで最初はしばらく震えて部屋の隅で小さくなっていたのが今では、呼べば寄ってくるようになりました。始めはソファーの隅に座っていても少しづつ、ほんの少しづつ近寄ってきて30分もすれば私の膝に顔を載せてくるようにもなりました。
公園へ行けば全速力で走り出し、そんなアンバーを見ると私の心も満足感で満たされます。最初の半年は、少しの動きにも怯えて逃げ出すアンバーを見て「このまま怯えっぱなしで一生を送るのかしら?」と暗い気持ちになったのもたしかです。昨日予防注射のために獣医さんのところに連れて行った際、「大分慣れましたねー。」と言われて自分のことのようにうれしかったものです。今年は、もう一匹アンバーの仲間を引き取ろうかという話も主人としています。アンバーが私達の暮らしに持ち込んでくれたものは計り知れません。それは私達がアンバーに与えることができるものの何倍もの大きな幸せです。
去年は日本の動物レスキューセンターのひとつで大阪郊外にある
ARKにも訪れ、創設者であるエリザベス.オリヴァーさんにもお会いしてきました。こちらの動物好きの友人と一緒に、今年、または来年には英国で日本の動物レスキューセンターのための募金チャリティイベントをしようという話もあります。
2年半、ブログを読んでくださってありがとうございました。これからは「イギリスへ行こう」のコラムで一ヶ月に一度英国からの便りをお届けします。日本にいながら英国の空気を少しでも感じていただければうれしいです。
長い冬の終わりを「これからは私達の季節ですよ」と恥ずかしそうに下を向きながら顔を出してくれるのがスノードロップの真っ白い花です。学名ではガランサス(ギリシャ語で‘ガラ’は‘ミルク’、‘アソス‘は‘花’を意味する)、「ミルクの花」ですが、この国では「雪の花」と呼ばれています。イングリッシュブルーベルのように保護されている野生の花ではないのですが(もっともこの国では野生の花を摘むことは禁じられていますので、スノードロップだって立派に保護植物ではあるのですが)、私にはスノードロップの白は、ミルクより、そして雪の白さよりもっと白く感じるのはこの花がグレーの空が長く続く英国の冬の終わりに芽を出してその花がキラキラ輝いるからかもしれません。

先日、ロンドンの西部、テムズ河の沿いにあるチェルシー.フィジック.ガーデン(Chelsea Physic Garden www.chelseaphysicgarden.co.uk)の Snowdrop Trailに行ってきました。よく Trailという言葉を耳にしますが、この場合は「その跡を歩くイベント」と考えていただいていいと思います。つまりここではSnowdropを求めて歩くので、ちゃんと地図も用意されていて、順番どおりに歩けばSnowdropが最高に楽しめます。
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さて、このChelsea Physic Gardenはロンドンでは一番古いガーデン(1673年創設)で、それは鑑賞用というより、薬剤師協会の学生が薬剤となる薬草を育て、その使用法を勉強するために造られたガーデンです。ですからいまだにガーデン内の植物にはその効用などの説明が書かれています。

場所は、あの大英博物館のコレクションの基を気づいた医者ハンス.スローン(写真)が「永久に医学のために役にたつガーデンとして保存、維持すること」を条件に年間5ポンドの借地料で貸し出したもので、その約束ががいまだに守られているために現在でも5ポンドという料金は変わっていないのだとか。この地域にスローン.スクエア、スローン.ストリートなど、彼の名前のついた住所が多いのはハンス.スローンの土地であったことを物語っていて現在でもその子孫が所有している場所がこの地域には沢山あります。

ガーデンといってもそれほど広いところではないので、一時間くらいあればけっこう楽しめます。もちろんもっとゆっくり周って、カフェでお茶を飲んだり売店で時間を使いながらもっとゆっくりすることをお勧めしますが。
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snowdrop マニアという人たちがいるそうで、一本30ポンド!というスノードロップも売られていました。

我が家の庭に秋に植えたSnowflakeがSnowdropとは違う種類の植物であることも初めて知りました。そこでこの日、私が購入したSnowdropが下の写真です。3ポンドでした!

この日Celsea Physic Gardenにはsnowdropのほかにもプリムラやクリスマスローズが咲いていました。蜂も飛んできて益々春の訪れを感じた素晴らしい一日でした。
