2010年6月23日
ホランドパーク公園近くに英国の19世紀を代表する画家のひとりフレデリック.レイト(1830~1896)の家があります。画家が住んだ家は他にも多くありますが、この家が特に他と違うのは、ここは彼が30年という月日をかけて完璧に彼自身の「芸術のパラダイス」に仕上げたことや、先にも後にもここに住んだのはレイトンひとりであることです。(レイトンの作品はhttp://www.frederic-leighton.org/ からご覧いただけます。)
By courtesy of Leighton Museum
レイトンはヨークシャーにあるスカーボローで医者の子として生まれましたが祖父はロシアの皇室の主治医だったひとです。経済的に恵まれた環境で育ったレイトンは医者の道には進みませんでしたが、1855年にヴィクトリア女王が彼の作品を買った頃から画家として開花し始め、ロイヤルアカデミーの院長の役にも就き当時の芸術家の中ではもっとも名の通ったひとりとなります。
この家の部屋にはそれぞれレイトンの個性がにじみ出ていますが、何といってもアラブ.ホールはその最たるものでしょう。私がここを最初に訪れた時の印象はいまだに忘れられません。「莫大なお金は欲しいとは思わないけど、完璧に自分の好み通りに造られた部屋で部屋で、自分の好きなものに囲まれて暮らすことは何と素晴らしいことなのだろう」というのがその時の実感でした。彼が中近東を旅している時に買い求めた陶器やテキスタイルなどが飾られています。壁を覆うほとんどのタイルはシリアのダマスカスのものでそれらは17世紀に作られたものです。

Photograph by Justin Barton
Cortesy of Leighton House Museum
ダイニングルームはレイトンのコレクションである中近東や地中海からのセラミックが映えるように赤い壁紙が貼られています。この部屋では頻繁にディナーパーティが開かれましたが、招待客の中にはヴィクトリア女王を始め詩人のロバート.ブラウニングやウィリアム.モリス、ダンテ.ガブリエル.ロゼッティなどのが名がを連ねていました。

Photograph by Justin Barton
Courtesy by Leighton House Museum
シルクルームは、シルクの壁紙が張られていたことから付けられた名前ですが、ダイニングルーム同様飾るものの色合いを考えてレイトンはグリーンの壁紙を使いました。ソファーの上の絵はジョン.エヴェレット.ミレイ作「さやをむきながらShelling Peas」で、レイトンが持っていた彫刻と交換されたものです。
Photograph by Justin Barton
Courtesy of Leighton House Museum
ホランドパーク通りの一角にあるレイトンハウス.ミュージアムはハイストリート.ケンジントンの地下鉄の駅から徒歩で5分という便利さです。レイトンはここで66歳の生涯を閉じました。一般のひとのセンスとは違うかもしれませんが、部屋の中に感じられる親密さあふれるこの画家の家に来れば作品を通してのみ知るレイトンから一歩奥深く彼を理解できるかもしれません。












